システム奮闘記:その106

ブラックボックス化した社内LANの調査



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(2016年9月13日に掲載)

社内LANの調査

 2003年、システム奮闘記を書くためにLANの勉強をしたのだが、 その時は社内のLANの配線を解明する事はしなかった。  そのためLANの配線が以下のような状態になっていた。
床下はブラックボックス
LANの配線の状態は全くわからない状態
LANケーブルが床下に潜っているため、どうなっているのか
全く見当がつかない状態のままだった。

 こんな状態だったため、下手にLANを拡張しようとするとループになり
LANが落ちてしまう事があった。
 当時はループ防止機能がついていないハブを使っていたのだ。


 そんな問題を解消するため、2005年2月、LANの全貌を解明するため休日出勤して調査を行なった。

 だが、LANケーブルは床の下にあるため、床の下がどうなっているのか、わからない。
 そのため以下のような状態になっていた。

どっちの経路を通るのか?
経路がわからない場合
マシンAからマシンBまでの間の経路だが
ハブAを経由するのか、ハブBを経由するのか全くわからない。

 道具はノートパソコンとリピーターハブだった。
 リピーターハブは、パケットを撒き散らす。

リピーターハブの特徴
リピータハブの場合、送信するパケットを全ての口から送信する
リピーターハブはパケットを接続されているケーブルに対してパケットを送る。

 リピーターハブは、パケットを撒き散らす事で、パケット衝突を引き起こす問題があるが
LANの調査の場合、欠点を逆手にとって、以下のような使い方ができる。

リピータハブが役立つ例
リピータハブが役立つ例
リピータハブは通信パケットをまき散らす性質を持っている。
そのため、ハブBの部分に、パケットを拾うソフトを入れた<
ノートパソコンを接続し、マシンAからマシンBに向けて
pingなどでパケットを飛ばす。

もし、ハブAを通れば、ノートパソコンはパケットを拾わないし
ハブBを通れば、パケットを拾う

 パケットを拾うソフトだが、Windows2000Proにあるパフォーマンスモニターの
パケットモニター機能を使った。

Windows2000のパケットモニター機能
Windows2000のパケットモニター機能
付属のソフトを使ったので、手軽で無料で使えた。
パケットモニターを使って、やってくるパケットを拾い上げる。

 このような感じで、不明な所はリピータハブを使って
パケットが流れているかどうかを確認しながら
社内LANの通信網を調べていった。

2005年2月、LANの全貌解明の様子
床を開けてみている様子
床下から冷たい空気が入ってくるため、室内が寒くなった。
休日出勤していた同僚から「寒いぞ」と言われてしまった。

 LANの配線調査のため、以下の方法を行なった。

 その結果・・・

 ようやくLANの配線図を作成できた

 だった。


 それ以降、ループの問題は一切起こらなくなった。

 だがLANの配線図がわかったものの、そこから何かをするわけでもなく
8年の歳月が過ぎていった。

社内LANの高速化

 2013年、事務室内の席替えが行なわれた。  その際、LANの配線の見直しを考えた。  できるだけデータの流れを良くして、今後のデータ通信の高速化に 対応するためだった。  そこで行なったのは  高速の1Gbpsのハブの導入  と  ハブの集約  だった。  今までは5口や8口のハブが乱立していた。
5口や8口のハブが乱立していた
5口や8口のハブが乱立していた
社内LANは、小さなハブ(100Base-TX)がいくつも乱立していた。
パソコンの台数が増えるにつれ、拡張していったためだった。

台数が多い上、100Base-TX対応のため、社内LANは高速とは言えなかった。

 そこで長いLANケーブルを買ってきて、24口のハブを購入したのだった。

購入したIO-DATAの1GBpsのハブ
IO-DATAの1HBpsのハブを導入
24口のハブを購入。

 その結果、以下のような社内LANの形態になった。

24口のハブを使って集約した結果
24口のハブを使って集約した結果
実際の所、本社内のLANは、複数のハブは存在しているが
主な部分は1極集中の形にしてまとめた。

 これで社内LANのデータ通信の高速化が行なえたと思った。
 だが、これだけでは不十分だったのを、2014年になって知った。
 それについてはLANケーブルの規格 CAT(カテゴリー)で触れています。


LAN入門:目次
ストレートケーブルとクロスケーブル LANケーブルのストレートタイプとクロスタイプの違いを書きました。
リピーターハブとスイッチングハブ リピーターハブとスイッチングハブの違いと、全二重通信と半二重通信の話です。
10Base-T以降では、パケット衝突は、実は擬似衝突などを書いています。
社内LANの調査 2005年に、ブラックボックス化した社内LANを解明した話です。
オートネゴーシエーション 10Base-T、100Base-TX、1000Base-Tなどが混在する環境で
どうやって通信制御を行っているのか
その仕組みを書きました。
LANケーブルの規格 CAT(カテゴリー) LANケーブルの規格のCAT(カテゴリー)の違いを書きました。
データ送信とデジタル信号の符号化 LANケーブルを信号が伝わる際、どうやってデータ送信をしているのか。
デジタル信号の周波数を抑えながら、高速で信号送信する技術を書きました。
10Base-T、100Base-TX、1000Base-Tについて書きました。
データリンク層 LAN内のパソコンや通信機器同士の通信はMACアドレスが使われています。
それを司るデータリンク層について書きました。
表皮効果と近接作用 LANケーブル内で起こっている信号減衰の原因が
表皮効果と近接作用である事と
LANケーブルの撚り線が、ノイズ対策なのを書きました。
ツイストペアとノイズ対策 LANケーブルがツイストペア(撚り線)なのはノイズ対策のためです。
その話を書きました。
差動回路とノイズ対策 LANケーブルは8本あり、データ通信は複線で行っています。
差動回路を使ったノイズ対策の話を書きました。
同軸ケーブルの仕組み 昔のLANに使われていた同軸ケーブル。
現在でもテレビのアンテナに接続する線として使われたりしています。
同軸ケーブルの仕組みや特性インピーダンスの話を軽く触れました。
発振回路 クロック信号を作る発振回路の説明です。
簡単なLC型コルピッツ発振回路を使って説明しました。


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