システム奮闘記:その106

発振回路の仕組み



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(2016年11月14日に掲載)

同期信号(クロック信号)

 信号を送る際、タイミングを取るため同期信号(クロック信号)が必要になる。
同期信号
同期信号
一定の間隔で「0」、「1」の繰り返しを行う信号だ。

 同期信号はどうやって発生させているのかは

 全然、知らへんかった

 なのだ。


発振回路の動作原理

 同期信号の所で、生まれた疑問は・・・  どうやって同期信号を作るねん!!  なのだ。  発振回路を使って同期信号を作るというのだ。  基本的な原理は以下の通りになる。
発振回路の原理
発振回路の原理はスピーカーにマイクを近づけ、音を増幅させるのと同じ
スピーカーの近くに、マイクの近づけると「ガガピー」の音がなる。
カラオケボックスなどで体験している人は多いと思う。

スピーカーから出る雑音を、マイクが拾い上げ
その雑音が増幅されてスピーカーから、より大きな音として出る。
それがマイクに拾われるから、どんどん増幅されるのだ。

 その原理を、図式化した物が下の図だ。

発振回路をブロック図で描く
発振回路をブロック図で描く
入力された信号が増幅器を通り、出力させるのだが
出力の一部を入力に戻す事で、より増幅させる事ができる。

出力された信号の一部を、入力に戻す回路の事を「帰還回路」というのだ。

 ところで発振回路で、クロック信号を作る際、元になるのが
電源を入れた際に発生する雑音(ノイズ)なのだ。

発生した雑音が信号として入力される
発生した雑音が信号として入力される
回路内で発生した雑音が入力されると、それが増幅される。
増幅された信号の一部を、入力側に戻すのだ。

 だが、これだと雑音そのものを戻すだけになる。
 そこで特定の周波数だけを選別して戻すのだ。

特定の周波数だけを選別して戻す
特定の周波数だけを選別して戻す
増幅された雑音の中から、特定の周波数の信号だけを取り出して
それを入力側に戻すのだ。

 入力側に戻された特定の周波数の信号は、また増幅される。

入力側に戻された特定の周波数の信号は、増幅される
入力側に戻された特定の周波数の信号は、増幅される
入力側に戻された特定の周波数の信号は、増幅される。
その一部を、また入力側に戻す事で、繰り返し、増幅されるのだ。

 これが一定の周期を持つ信号(クロック信号)を作り出す原理なのだ。


 だが、これでわかった気にはなれない。
 なぜなら・・・

 実際の回路は、どないなってるねん?

 なのだ。


増幅回路

 まずは、普通の増幅回路を見てみる。
普通の増幅回路
普通の増幅回路
入力部は交流電源を描いたが、実はマイクでも何でも良い。
入力された信号はトランジスタで増幅されるのだ。
上図の増幅回路の場合、増幅された信号は、位相が反転した形で出力される。

(注意)
これを見て「抵抗値やコンデンサーの電気容量の値は?」といった突っ込みは無しで。
「負帰還回路がないから、安定性や周波数特性が良くならへん」という突っ込みも無しで

 上図の増幅回路の場合、反転増幅になる。


反転増幅になる
反転増幅回路
入力された信号は、反転された状態で増幅される。

入力信号の電圧が上がり、入力電流が増える事で、トランジスタを流れるコレクタ電流が増える。
それに伴い、Rcの電位差が増大するため、結果、出力される部分の電位が低くなる。

反対に入力電圧が下がり、入力電流が減る事で、Rcの電位差が減少するため、出力される部分の電位差は増えるのだ。

 ここでは増幅回路の仕組みの説明は省略する。


コルピッツ型発振回路

 発振回路を見てみる。  今回、LC型でコルピッツ型発振回路を見てみる事にした。  理由は簡単。見た目が・・・  一番理解しやすいと思った  ので、これを理解しようと思ったのだ。  だが、実際には、理解するのに七転八倒したのは、書くまでもないのだ。
LC発振回路(コルピッツ回路)
発振回路(コルピッツ回路)
発振回路には、LC発振回路とRC発振回路がある。ここでは前者を取り上げる。 そして、LC発振回路には大きく分けて2種類ある。
ハートレー回路とコルピッツ回路だ。今回は後者を取り上げた。特に意味はないのだ。

桃色の部分だが変圧器(トランス)だ。
コイル(L)と変圧器(トランス)を兼ねる事はできるのだ。

 特定の周波数信号を取り出す部分は、以下の部分なのだ。

特定の周波数信号を取り出す部分
特定の周波数信号を取り出す部分
青く囲んだ部分が、特定の周波数信号を取り出す部分だ。
特定の周波数を取り出す共振回路に似ているのだ。

ちなみに、青く囲んだ部分を帰還回路という。

 帰還回路。簡単に説明する。

帰還回路とは
増幅された出力信号の一部を、入力側に戻す回路の事だ。
戻された信号が、増幅される事で、どんどん信号が大きくなるのだ。

なぜ、LC共振回路が帰還回路になるのかは、あとで説明します。

 帰還回路を見てみる。

発振回路にある帰還回路(LC発振回路:コルピッツ型)
発振回路にある帰還回路(LC発振回路:コルピッツ型)
LC共振回路になっている。
直列で2つのコンデンサーをつなげている。真ん中で電位ゼロの部分だ。
電位ゼロを真ん中にしているのが重要な部分なのだ。

 そしてコンデンサーの部分を2つに分けて、直列にしている理由もある。

コンデンサーの部分を直列にしている理由
コンデンサーの部分を直列にしている理由
コンデンサーを1個にしないで、2つのコンデンサーの直列にしている。
コンデンサーを2つにする事で、分圧できるからだ。

 これだけだと、わかりにくいので、

分圧とは
分圧
コイルの両端の電位差を考える。
電位差と時間の関係が正弦曲線(サインカーブ)だったとする。
要するに交流電圧がかかったという事にする。

 電位差ゼロの地点で見た場合で、分圧を見てみると、以下のようになる。
 

電位ゼロの地点から見たコイル両端の電位
電位ゼロの地点から見たコイル両端の電位
電位ゼロの地点(点A)から見た、点Bと点Cとの電位差だが
位相が逆転している。
2個のコンデンサーを直列にして、真ん中に電位ゼロ地点をした目的は
後で説明するのだが、ここでは位相を逆転させる事を頭に入れて欲しい。

 コンデンサーを2個にして分圧する事と、電位ゼロを真ん中にしたのを
頭に入れて、次に進む。



 並列共振回路の特徴なのだが、特定の周波数の交流は流さないのだ。
 実際に以下の並列共振回路で考えてみる。
 

並列共振回路
並列共振回路
抵抗をつけたのは、LC並列回路のインピーダンスがゼロになっても
無限に電流が流れるのを防止するためだ。

 まずはLC並列回路のインピーダンスを考える。

 交流電流のインピーダンスの求め方については
「システム奮闘記:その98」(電気回路入門)をご覧ください。


LC並列回路のインピーダンス
LC並列回路のインピーダンス
LC並列回路のインピーダンスを求めてみた。

 LC並列回路と、抵抗は直列なので、回路全体のインピーダンスは
以下のようになる。

回路全体のインピーダンス
LC並列回路と抵抗の直列回路のインピーダンス
回路全体のインピーダンスが求まった。

 LC並列回路が共振する、すなわち、LC並列回路のインピーダンスが
無限大になる交流電流の周波数を求めてみた。

LC並列回路のインピーダンスが無限大になる交流電流の周波数
LC並列回路のインピーダンスが無限大になる交流電流の周波数
インピーダンスが無限大になる交流の周波数が求まった。

 具体的に抵抗値、電気容量、インダクタンスの値を入れてみる。

抵抗値、電気容量、インダクタンスの値を入れてみる
抵抗値、電気容量、インダクタンスの値を入れてみる
共振周波数が159Hzなのが求まった。

 周波数を120から200Hzの間を推移させた場合のインピーダンスを見てみた。

周波数を120から200Hzの間を推移させた場合のインピーダンス
周波数を120から200Hzの間を推移させた場合のインピーダンス
インピーダンスの値が、周波数が159Hzの所で、飛びぬけて高い値になっている。
だが、その周辺をのぞけば、インピーダンスは抵抗値の3KΩになっている。

 これから言える事は・・・

 共振周波数周辺の周波数以外だと

 LC並列回路のインピーダンスはゼロ

 になるのだ。


 共振周波数の周辺はインピーダンスはゼロでないといっても、僅かの幅なのだ。
 そのため話を単純にするため・・・

 共振周波数以外は、LC並列回路のインピーダンスはゼロ

 と言い切ってしまう。



 共振周波数以外の信号(交流電流)が流れても、並列共振回路では
インピーダンスがゼロなので、電位差が生まれない。


 もし、共振周波数の成分を含まない信号がやってきた場合を考える。

共振周波数の成分を含まない信号がやってきた場合
共振周波数の成分を含まない信号がやってきた場合
共振周波数を含まない信号(電流)がやってきても
LC並列回路はインピーダンスがゼロのため、信号は素通りしてしまう。
そして、インピーダンスがゼロなので電位差は生まれないのだ。

 次に共振周波数の成分を含む信号がやってきた場合。

共振周波数の成分を含む信号がやってきた場合
共振周波数の成分を含む信号がやってきた場合
共振周波数の信号成分は、LC並列回路を通る事はできない。
なぜなら理論上、インピーダンスは無限大なのだ。
そのためLC並列回路には電位差が生じるのだ。

電位差は共振周波数と同じになるのだ。

 そしてコンデンサーを2個にして分圧する事で、以下のような事ができる。

コンデンサーを2個にして分圧した結果
共振周波数の成分を含む信号がやってきた場合、コンデンサーを2個にして分圧した結果
電位ゼロの地点(A点)から見たC点では、共振周波数で位相が逆転した電位差が生まれる。
この電位差を取り出す事が重要なのだ。

 発振回路全体で見る。


 電源を入れた際、回路内部で雑音が発生したとする。
 雑音が入力されたとすると、増幅部分で、反転増幅される。

雑音が入力されたとすると、増幅部分で、反転増幅される
雑音が入力されたとすると、増幅部分で、反転増幅される
雑音信号が、増幅部分によって、反転増幅されるのだ。

 増幅された信号なのだが、LC並列回路によって、共振周波数成分だけ分離される。


増幅された雑音のうち、共振周波数成分だけが取り出される
増幅された雑音のうち、共振周波数成分だけが取り出される
共振周波数成分は、LC並列回路を通る事ができない。
そのため共振周波数の信号の強弱(電位差)が残るため
LC並列回路は、共振周波数の正弦波形(サインカーブ)の電位差になる。

その際、コンデンサーが2つあるので分圧される。
C1側のコンデンサーの両端では、共振周波数の信号の位相を反転させた電位差が現れる。

 C1側で、共振周波数で、位相反転した成分を取り出した。
 それが入力信号として戻されるのだ。

位相反転した成分を取り出した信号を、入力信号として戻される
位相反転した成分を取り出した信号を、入力信号として戻される
C1側の電位差は、そのまま入力信号になる。
出力信号の一部が、入力部分に戻されるので、LC並列回路部分が帰還回路と呼ばれるのだ。

 そして戻された信号が、増幅される。

戻された信号が、増幅される
戻された信号が、増幅される
戻された信号が、増幅部分で、増幅される。
それが入力部分に戻される。それの繰り返しで、どんどん出力信号が大きくなるのだ。

 さて、どうやって共振周波数を取り出すのか。
 最初に示した発振回路のコイルの部分にある変圧器(トランス)だ。

LC発振回路(コルピッツ回路)
発振回路(コルピッツ回路)
桃色で囲んだ変圧器(トランス)を使う。
変圧器のコイルの両端に電位差がある事で、もう一方のコイルにも電位差が生じる。
これによって、共振周波数の信号(電圧)を取り出すのだ。

 ようやく発振回路の原理が理解できた!!

 のだ。


水晶発信器

 ある日、何気なくLANカード(FastEthernetII PCI-TX)を見た。  銀色の部品が気になった。
10Base-T/100Base-TX対応のLANカードの水晶発信器
10Base-T/100Base-TX対応のLANカードの水晶発信器
銀色の部品だが、水晶発信器なのだ。

 LANボードに限らず、安定的なクロック信号を作る場合は、水晶発振器が使われる。
 だが・・・

 理解できへんかった

 というので、今回は割愛します。
 いずれ「アナログ回路入門」と題して、取り上げたいと思います。


コンパレーター

 発振回路によって、一定の周波数信号を送る方法がわかった。  だが、発振回路の場合だと・・・  正弦波であって短矩波ではない  のだ。
正弦波と短矩波
正弦波と短矩波
発振回路で作られる信号波は正弦波だ。
同期信号(クロック信号)で使われるのは、短矩波だ。

 どないしたら短矩波ができるねん??
 
 なのだ。

 調べていくと・・・

 コンパレーターを使う

 というのだ。
 だが、いつものお決まり文句・・・

 コンパレーターとは何やねん?

 なのだ。

 調べてみると、以下のサイトが見つかった。
 電子回路入門(3) オペアンプ、コンパレータ | ルネサス エレクトロニクス

 コンパレーターの記号は

 オペアンプと同じ記号で紛らわしい

 なのだ。

正直に書くと
オペアンプとコンパレーターの記号が同じなので
最初はオペアンプを使って、比較を行う物だと思った。
だが、調べていくと、そうでない事を知った。
あやうく、おかしな事を書きそうになったのだ。

 コンパレートを使った回路を見てみる。

コンパレーター回路
コンパレーター回路
VREFは基準電圧の意味だ。閾値というわけなのだ。
「REF」はreference(参照)の意味なのだ。

コンパレーターの場合、比較器と呼ばれ、2入力の信号の電圧を比較し
入力(+)の電圧が、入力(-)の電圧を上回ると、出力は「1」になる。

反対に入力(+)の電圧が、入力(-)を下回ると、出力は「0」になる回路だ。

 具体的にどういう働きをするのか見てみる。

コンパレーター回路の働き
コンパレーター回路の働き
入力電圧(+の端子)と、閾値電圧(-の端子)を比較して
入力電圧が閾値電圧を上回ると、出力電圧は「1」になり
そうでない場合は「0」になる。

閾値を上回っているかどうかの判定結果を出力してくれるのだ。

 そこでコンパレーター回路の閾値になる電圧をゼロとした場合
正弦波を入力すると、短矩波ができるのだ。

コンパレーター回路の閾値になる電圧(VREF)をゼロとした場合
入力波の電圧がゼロ以上の場合、信号が増幅される。
理想的なオペアンプの電圧増幅度は無限大なのだが
オペアンプに供給している電気の電圧が、最大出力電圧になる。
そのためオペアンプに供給される最大電圧まで増幅されるのだ。

入力電圧がゼロを下回った場合、出力電力もゼロになるのだ。

 正弦波から短矩波へ変換する方法がわかったのらー!!

 だった。
 もちろん、コンパレーターの中身が、どういう素子の組み合わせなのかは
全くわからない。

 ところで、上図の回路を見て・・・

 安定性を保つためヒステリシスを持たせる必要がある

 などの突っ込みはなしでお願いします。
 私は回路技術者ではなく・・・

 ただの総務の事務員

 なので、細かい所は気にしないと開き直ってみる。


LAN入門:目次
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リピーターハブとスイッチングハブ リピーターハブとスイッチングハブの違いと、全二重通信と半二重通信の話です。
10Base-T以降では、パケット衝突は、実は擬似衝突などを書いています。
社内LANの調査 2005年に、ブラックボックス化した社内LANを解明した話です。
オートネゴーシエーション 10Base-T、100Base-TX、1000Base-Tなどが混在する環境で
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簡単なLC型コルピッツ発振回路を使って説明しました。


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